今年初のKAPL企画展!
様々な「笑い」をテーマに、11人のアーティストが作品を展示しました。
以下、28日に行われたレセプションでのギャラリートークより、解説とあわせて作品を紹介します。
アーティストNo.1 : Ofri frasti
「私の悪夢と踊る」
兵隊の帽子をかぶるテディベア、身体は蜘蛛。イスラエルで蜘蛛は悪夢の象徴と言われている。バレリーナの身体は、悪夢に踊らされているというメッセージ。
「攻撃ヘリコプターとパイロット」
サルは、イスラエルの皮肉で、命令があると自分の意思と関係なく動くことの象徴。兵のヘリコプターはミサイルの軌道も正確。空で起きている事と地上で起きていることにとてもギャップがあると感じて描いたもの。兵役中の訓練と現実は別の世界のよう。
「装甲車」
戦争で使う車の中にいると、守られている感覚があるが、それは幻想。木でできているのは、ミサイルがあたったらすぐ壊れてしまう、という皮肉を込めている。
「暴力の輪」
自分の簡単なスケッチ、暴力の輪、そこから逃げようとしている象徴。
小さい頃、右がパレスチナの子どもで左がイスラエルの子どもを描いている。どちらも街を壊されて逃げている絵。壊されたから逃げる。また相手を壊す。そちらの子どもも逃げる。その永遠の繰り返し。
子ども達が成長し、自分の国を守らなければならないシステムの中に入る。イスラエル兵が守るのはパレスチナからの攻撃で、パレスチナはまたイスラエルから自分達の陣地を守らなければいけない。2人は守りながら壊すことを続けている。
「政治家の演説」
イスラエルにも右と左がいて、政治家の意思で自分達が捉えられている感覚を描いている。
「TVマン」
テレビは、新しいものをどんどんうつしてインフォメーションしている。
そんなテレビを見た人が、新しいものを欲しいという欲が自分の身体に入って、どんどん全身に影響していくイメージ。
アーティストNo.2 : 根本賢
「のぼり」 「くだり」
のぼりにくだりとかきました!エアコンの風で、キャプションがくるくる回るようにしました。
のぼりという名前、何も気にせず使っているけど、なんでのぼりというんだろう?と考えて、くだりでもいいんじゃないかと思ったのが着想です。
3本線が入っているのは、のぼりとしてイメージしやすいように。布を縫うところから作りました。
鑑賞者からの感想
「笑いのツボの成り立ちが、面白い。オフリは善悪の対比に面白さがあると感じてて、根本くんは無意識に流してるものに疑問をもっていて、どちらも逆の存在との対比を面白く感じているという共通項があると感じた」
アーティストNo.3 : 浅見俊哉
「サンドイッチアートマン in さいたま」
サンドイッチアートマンという、作品が設置された壁を持って立つことでその場を展覧会場とするパフォーマンスの様子をうつした動画を展示。さいたまトリエンナーレ内で何度か実施し、最後のパフォーマンス2日前に告知のために大宮駅前に行ったら議員さんが演説をしていた。その横にはリアルタイムでドンキホーテやHISの宣伝をするサンドイッチマンもいる。その場で一緒に「サンドイッチアートマン」を実施。その議員さんはさいたまトリエンナーレに反対の立場で、批評を話していた。
「政治とアート」の関係性をどう形作るかというところに着目。自分は言葉は発さないが、作品を持って立つという形で、主張をした。その横には同じように立つ商業の宣伝の人。とてもカオスな空間だった。
演説終了後、その議員さんに実際に話しかけた。「君は、なにをしてるの?」と問われ、「さいたまトリエンナーレのイベントの一環として作品を展示しています。」と応えると、「そうなの?へー、きれいだなぁ」という会話に。政治とアートがどうコネクトしていくかと考えた時に、とてもホットな瞬間だった。
鑑賞者の感想
「トリエンナーレが始まった時に、大宮で生活しながら、全然宣伝してないな、と考えていた。するとある日街宣車が『さいたまトリエンナーレ』という単語を出して回っていたから、やっと宣伝を始めたのかと思ったらその議員さんの車だったのを思い出した。」
アーティストNo.4 : 服部真理子
「パンはパンでも食べられないパンは何だ?」
本物の方のパンを作るのが好きで、そこから発想を得た。フライパンが定番だけど、もっとあるよね、という気持ちから作りました。裏側もこだわって作っているので手にとってみてもらえたら嬉しいです。素材は粘土です。
鑑賞者からの感想
「パンはソフトだけど持ったらハードで、その対比も笑いを誘うのかなと思った。石をパンに変える神の奇跡を思い出した。」
アーティストNo.5 :浅沼奨
「一写一笑」
浅見俊哉さんのシリーズ、一写一想のパロディ。猫の背景にジャンボレタスって面白いな、とか日常に面白さを見つけることがある。10階まで眼鏡屋で11階が眼科の建物、建設途中だけど広告が胡散臭いな、という視点。
熊と闘っている写真にはアイヌ語が使われている。昔の言葉の横に、今のQRコードを入れているというところにも注目してほしい。
鑑賞者の感想
「綾鷹の自販機、初めてみました!」
作者よりコメント
「足利にありました。一本200円で高いけどみんなこれしかないから買う。選ばれたのは綾鷹でした!」
後編へ続く!